コレットの物語
すべては、あるカフェのテラスから始まった。偶然がそっと居合わせていた。そうした巡り合わせから生まれたのが、会話を誘うチョコレート、Colette Demay である。
第一の場面
パリのカフェのテラスで、日も暮れかけていた。夕陽が石畳の上に沈んでゆき、ワインはまあ正直なところほどほど、つまみは少しばかり塩が利きすぎていた。
私の隣には、モデル業界の友がいた。不意に、私の携帯が鳴った。メッセージにちらりと目をやり、私はそれをまたテーブルへ置いた。友はそれに気づいた。
多くの父親がそうであるように、待ち受け画面には娘の写真があった。
友はその写真を見て、ためらいもなく、何人かの知り合いに送ってみてはと勧めた。各事務所からの返事は上々だったが、当の本人であるコレットは、首を縦に振らなかった。
これは、ただの逸話で終わるはずだった。
第二の場面
一年後、私は長年の夢を叶えようとしていた。自らのチョコレート・ブランドを立ち上げることだ。私は昔からチョコレートをこよなく愛し、年月とともに確かな知見を培ってきた——技術、テロワール、香り、そして食感を。
私は厨房で、チョコレートとの取り合わせを探っていた。コレットは私のかたわらで、手を貸してくれていた。幾週ものあいだ、私はブランドの名を探し続けていたが、何ひとつ見つからずにいた。
そして私は、あの小さなタイムカプセルを思い起こした——テラスでの会話、待ち受け画面のあの写真、ハンガー(衣裳掛け)になることを拒んだ娘のこと。彼女の名は、しごく当然のごとく、おのずと立ち現れた。
第三の場面
ロゴを描き、規範を定め、まだ直感でしかなかったものに、視覚の骨格を与えねばならなかった。私たちが求めていたのは、ひとつの形であり、ひとつの署名だった。象徴的でありながら、ひと目で腑に落ちる、そんな何かを。
私たちは形を、目方を、口に含むのにちょうどよい大きさを、つくり込んでいた。五グラム。すべてはそこにあった——ただひとつ、優雅さを除いては。
そして再び、偶然が居合わせた。ロゴを見つめていると、私の目はほとんど見えないほどの細部にとまった。Demay の A の内側に、ひとつの形が現れたのだ。ひそやかで。細長く。すらりとして。
私は一目でそれと分かった——やがて私たちのチョコレートのシルエットとなる、その形を。宙に吊られたひと粒の涙、純粋なかたち、上へと張りつめ、引き延ばされた一瞬のように。私たちが描いていたものとほとんど寸分たがわぬが、ただこの台座だけが、仕上がり、優雅であった。
こうして、la Larme de Colette は生まれた。
その A — すでにひと粒の涙 Histograph、大文字にて。その形は、すでにこの文字に刻まれていた。
la Larme、最終形 下へと張りつめ、優雅な台座。5 g · 43,19 × 25,01 × 12,5 mm。
coda
テラスでの一通のメッセージ。厨房で再び見いだされたひとつの名。文字のなかに潜んでいたひとつの形。逸話で終わるはずだったものが、私たちのブランドとなった。
舌の上に置かれるひと粒ごとの涙が、この物語を宿している——娘の存在、父の忍耐、そして、ただ見いだされることだけを願っていた、ひとつの細部の優雅さを。